全国的に注目されているクラフトビール。クラフトビールとは、小規模な醸造所がつくる個性的なビールのことで、手づくりビールや職人技のビールとして支持されています。愛知県にもさまざまなクラフトビールを提供するお店や醸造所があります。
今回紹介するのは、豊橋市出身の醸造家チームたちが提案するオリジナルクラフトビール。全国各地の醸造所で働いているメンバーが集結し、クラフトビールを通して地元・豊橋を盛り上げるために活動をしています。
クラフトビールはもちろん、地元に対する想いを伺いました。
目次
クラフトビール醸造×豊橋出身で集まったメンバー
豊橋出身で全国で醸造家として活躍する4人が集まりオリジナルクラフトビールを提案している「ToyoHashi City Craft」。メンバーはそれぞれ、東京や和歌山、徳島、神奈川のブリュワリーで働いている若手醸造家です。
鈴木諒さん(東京都CRAFTROCK BREWING)
醸造家歴10年。ご当地ビールが好きで「ビールを自分でつくりたい」と思いクラフトビール業界へ。100種類以上のビールをつくり続けており、「ToyoHashi City Craft」ではビールレシピ提案を担当。
金子巧さん(和歌山県Nomcraft Brewing)
大学卒業後バックパッカーでオーストラリアや、カナダ、ポートランドなどを巡る。和歌山県有田川とポートランドが提携をしており、クラフトビールで街づくりを軸に「Nomcraft Brewing」を立ち上げる。「ToyoHashi City Craft」では広報を担当。
川合崇浩さん(徳島県RISE & WIN BREWING)
オーストラリアでビールづくりを学び、縁があり徳島県の「RISE & WIN BREWING」へ。クラフトビールとゼロ・ウェイストが体験できる場所として全国からも注目を集める。「ToyoHashi City Craft」では、発案からチーム統括を担当。
手嶋弘樹さん(神奈川県横浜ベイブルーイング)
クラフトビールが好きで、5年前に横浜のクラフトビールメーカー「横浜ベイブルーイング」へ。現在、醸造家としてさまざまなビールをつくっている。「ToyoHashi City Craft」では企画や販売、営業を担当。
https://www.yokohamabaybrewing.jp
– このメンバーが出会ったきっかけを教えてください。
手嶋さん:「僕たち4人は豊橋出身ですが、みんな全国各地で醸造所スタッフとして働いていたので、このプロジェクトをスタートする前はまったく知らなくて。友人から「醸造家の人知っているよ〜」と紹介してもらったりして出会ったのがきっかけです。2019年の時に、豊橋市で行われていた歩行者天国(通称:ホコ天)のイベントがあり、ビアフェスが開催されました。その時に4人で初めて会って意気投合しました。」
川合さん:「クラフトビールで何か地域を盛り上げたいとも思っていました。特に豊橋は人口に対してブリュワリーやクラフトビールが飲めるお店がとても少ない。全国的にクラフトビールが注目されている中で、豊橋にクラフトビール文化がないのがもったいない!と思い、僕たちで何かできることはないかと模索し、みんなで豊橋らしいクラフトビールつくってみようと思いました。」
– 豊橋を盛り上げたい!地域活性化をしたいというのが4人の想いだったのですね。
金子さん:「豊橋のクラフトビール文化はまだまだ遅れています。クラフトビールって面白いよ、楽しいよ!というのを地元のみんなに伝えられたらいいなと思っています。僕たちは全国各地それぞれでクラフトビールをつくっていますが、この「ToyoHashi City Craft」では、自分たちが楽しいことをクラフトビールを通して表現したいなとも思っています。」
鈴木さん:「最初のきっかけは、「なんとなく地元盛り上げたいよね〜」と話していて、自分たちが表現できるのがクラフトビールだったので、「ビールつくったら楽しいよね!」とあくまでも半分趣味みたいな感じでした。しかし、オリジナルクラフトビールをつくっていくごとに、地元・豊橋のみんなが盛り上がってくれて、とても嬉しいですね。」
第一弾のオリジナルクラフトビールは1週間で完売!
– そして、第一弾に誕生したのがこのクラフトビールですね。個性的なパッケージが目を引きます。
川合さん:「「ToyoHashi City Craft」として初めてオリジナルクラフトビールをリリースしたのは、2021年1月31日です。この『ENDORFIN / エンドルフィン』は、麦芽由来のしっかりしたボディにカラメルの甘み、3種類のニュージーランド産ホップによるライチ、グアバのような甘いトロピカルな香りとライムのような爽やかな香り、フィニッシュには若草のようなキリッとするような味わいと苦味が全体をまとめてくれます。
鈴木さん:「世界でも愛されているIPA=India Pale Ale(インディア・ペールエール)を使ったクラフトビールで、ホップの風味が強くて苦味がありながらバランスある味わいに仕上げました。」
– このクラフトビールの反響はどうでしたか?
手嶋さん:「僕たちの想いでもある「地元・豊橋の人にクラフトビールを楽しんでもらいたい」と思っていたので、地元の知り合いのお店や酒屋さんなどに置いてもらうことができました。また、都内にも豊橋出身のスタッフの方もいて、このクラフトビールに興味を持っていただく方から取り扱いたいと連絡もたくさんいただき、1週間ほどで完売しました。」
金子さん:「地元のアーティストさんとコラボするのも「ToyoHashi City Craft」の特徴です。このラベルも地元・豊橋のアーティストさんに描いていただいたもの。色鮮やかなデザインで、僕たちも気に入っています。どんなビールにしようかと考えながらつくり、自分たちの手で販売し、完売したというのはとても嬉しいですね。」
川合さん:「特に、豊橋出身の都内の飲食店さんは反響大きかったですね。このクラフトビールを通して、豊橋愛を語ったりしましたね!」
第二弾のオリジナルクラフトビールも
あっという間に完売!
– 第二弾のオリジナルクラフトビールの想いやこだわりを教えてください。
手嶋さん:「第二弾のビールは「CBD」を使用した、『ELIXIR / エリクサー』と名付けたクラフトビールです。「CBD」とは、大麻草に含まれる天然物質で、人体の身体調整機能に働きかけ、免疫調整や感情抑制、リラックス効果があると世界で研究が進められている成分です。アルコール度数を抑えて、夏にゴクゴクと飲めるような味わいに仕上げました。」
鈴木さん:「第二弾を企画する中で、4人の会話の中で出たのが「フェスで飲めるような軽くてごくごく飲める一杯」というテーマでした。「CBD」を取り入れるのが僕たちらしくて、とても面白いかなというのが前提にあって。度数が低くてさっぱりとして、かつ苦味などもはっきりしている。面白い原料をチャレンジして使ってみようと思い、誕生しました。」
金子さん:「ラベルも地元・豊橋の女性アーティストさんに描いてもらった作品というのもポイントですね。僕たちは醸造所を持たない醸造チームなので、その奇抜なビールレシピやロゴなど、クラフトビールのムーブメントが弾けた感じになりましたね。」
川合さん:「今回リリースして、第一弾よりも本数を多く製造したのですが、あっという間に完売となり大成功でした。前回よりも、豊橋の人たちに楽しんでもらえるように、あるゆるお店に置いてもらえました。『ELIXIR / エリクサー』を通じて、豊橋のつながりを感じることができました。」
– 豊橋のつながりを感じることができたのは、皆さんにとっても大きなことでしたね。
鈴木さん:「この第二弾を販売する際は、もっと地元の豊橋を重点的に置いてもらおうとみんなで話をしていました。豊橋でクラフトビールが飲める飲食店に声をかけたりして、おそらく販売量の半分以上は豊橋市内で販売したと思います。地元で消費されているのが嬉しかったし、両親も買っていて驚きました!」
鈴木さん:「つくっているビールの種類や内容もブラッシュアップしていく必要もありますが、僕たちの想いとしては、地域を盛り上げるひとつのきっかけにクラフトビールがあり、それをカルチャーとして楽しんでもらいたい!と思っています。ビール業界で働いているわけだから、きちんとビールの魅力を伝えることができればいいなと。」
手嶋さん:「今回『ELIXIR / エリクサー』を販売するにあたり、実際に地元の豊橋に帰省して、豊橋で人気の八百屋「ichigoyaichie」や「道の駅とよはし」などいろんなお店を巡り僕たちの想いを伝えました。販売したと同時に、SNSで『ELIXIR / エリクサー』を飲んだ人がたくさん投稿してくれて、盛り上がりを感じました。」
今後の展望について
金子さん:「「ToyoHashi City Craft」は、自分たちのつくりたいを表現する場所だと思っています。オリジナルクラフトビールは年に4回はリリースしたいなと思っていますが、しっかりとビールのレシピや方向性を決めながら、みんなで楽しくつくりたい!と思います。」
川合さん:「僕たちは地元を離れていても地元が大好き!「豊橋らしさ」を大事にしたいなと思っています。やりたいことをやりながら、「ToyoHashi City Craft」らしさをプラスしながら、いろんなクラフトビールをつくっていきたいですね。」
鈴木さん:「第二弾が「ToyoHashi City Craft」の軸になったかなと思っています。面白いもの・楽しいもの・スタイリッシュなもの。他では生み出せないものをこれからもやっていきたいですね。今後は地元企業などとコラボレーションをしながら、地域を盛り上げたいなと思っています。」
手嶋さん:「クラフトビールをつくる「作り手」としてはもちろん、クラフトビールの魅力を発信するチームでもありたいです。そして、これからも豊橋出身の醸造家として、クラフトビールの面白さを伝えたいです。企業やアーティストさんとのコラボレーションを積極的にしていきたいので、オリジナルクラフトビールの醸造に興味のある方はお気軽にご連絡下さい!」
豊橋出身の若手醸造家が作るオリジナルクラフトビール。地元・豊橋が大好きだからこそ、クラフトビールを通じて街を盛り上げたい!と話してくれたのが印象的でした。今後のオリジナルクラフトビールの発売も楽しみです。