半世紀以上もの時を経て復刻された「カブトビール」の想いを次世代につなぐ名古屋支店「納屋橋TWILO」|名古屋

2019.3.28
トワイロ

納屋橋の川沿いに店舗をかまえる老舗額縁店『高山額縁店』。お店の奥は、明治時代に半田で誕生した幻の「カブトビール」が堪能できるカフェバーとしての顔も持っています。なぜ半田のカブトビールがここ名古屋で飲めるのか?「納屋橋TWILO(以下:トワイロ)」の誕生エピソードをお聞きしてきました。

 

高山額縁店の記事はこちらから

 

天井 額縁お店の天井を見上げると額縁がインテリアとして装飾されています。

 

DJ店内の中央にはDJブースも。オーナーの高山さんはDJとしての顔も持っているので、トワイロでプレイすることもあるのだそう

 

 

 

カブトビールとは?

 

 

カブトビールは愛知県半田市で、1889年から1943年のおよそ半世紀の間だけ生産され、幻のビールとも呼ばれています。明治時代のはじめは、サッポロ・キリン・エビス・アサヒなど名だたるビールが誕生。そんな中、カブトビールは大手4大ビールメーカーに迫る勢いで普及し、1900年に開かれたパリ万博に金賞に輝きました。

 

残念ながら太平洋戦争によって工場は閉鎖に追い込まれ、カブトビールの製造は終了。幻のビールとなったカブトビールですが、復刻したいという熱い想いをもつ地元の方々が中心になって、長い年月を経て復刻されました。

 

納屋橋に賑わいを

 

高山さん高山額縁店兼トワイロオーナーの高山大資さん

 

− カブトビール名古屋支店立ち上げの秘話をお聞きしました。

 

高山さん:「話は、愛知万博のころに遡ります。名古屋市が、万博の開催にあたって、納屋橋の地に賑わいを取り戻すために、納屋橋の護岸道を整備をしたんです。以来、名古屋市さんとも情報交換をしたり、納屋橋住民たちの間でも話合いが行われるようになりました。

 

その事業の一環として、護岸道をもっと市民に利用していただくために、河川管理をしていた方が護岸道の規制緩和をしたんです。そこから、「なやばし夜市」や「ナヤマルシェ」をはじめとするイベントが納屋橋で行われるようになっていきました。

 

あるとき、イベントに出てくれないかと打診をされたんです。僕は人前にでるのがあまり得意ではなかったのですが、祖父が亡くなってから、祖父のためにも、この街のためにも僕に何かできることがあればと思い、イベントにでることを決めました。」

 

 

 

カブトビールとの出会い

 

カブトビール

高山さんが主催しているイベント「納屋橋ホリデーマーケット」。

 

高山さん:「イベントを開催するようになってからは、確かに賑わうようになりました。でもそれは、一過性のものでイベントが終わればまたいつもの納屋橋。それって本当の賑わいなのかな?って思ったんですね。納屋橋に栄と同じような賑わいをつくることはできないけど、この川を通じてできる賑わいがあるんじゃないかと考えました。納屋橋らしいロマンを感じる街並み、懐かしさを感じる街並み。ストーリー性のあるものは何かないかと模索していました。

 

「レトロ納屋橋まちづくり会」のみんなで集まって街の歴史を振り返ったときのことです。明治・大正時代の納屋橋の写真を見たら、「加富登麦酒名古屋支店」という看板がかかげてあったんです。「これなんですか?」って聞いたら、どうやらこの場所に、昔人気のあったビール屋さんがあったみたいなんです。名古屋市の人に聞いたら、「カブトビールは今でも飲めるらしいですよ」という情報を得ました。しかもこの地域でNO.1シェアを誇っていたのに、いつのまにか飲めなくなった。でもいままた飲める。このストーリーにとても惹かれましたね。

 

たんなる流行りもののビールではなく、歴史的背景がある。そして半田にとっての財産であること。これって、僕たちが納屋橋で抱いている想いと同じなのではと感じました。」

 

 

 

納屋橋にもう一度カブトビールを。想いをつづった手紙

 

赤煉瓦半田の赤レンガ倉庫

 

高山さん:「半田市役所に問い合わせをして、納屋橋で販売できるイベントがやりたいと伝えたところ「高山さんそれは無理です。僕らは商売目的でやってるわけじゃない。」と言われて、あしらわれてしまったんです。

 

「じゃあどこで飲めるんですか?」って聞いたら、「いや飲めないです。」って。それでもめげずに何度も電話しているうちに、カブトビールを復刻された「赤煉瓦倶楽部」の理事長さんにつないでもらえました。

 

案の定すぐに断られましたよ。でも、僕は飲食店をやってるわけではなく、ちゃんと想いがあるしコンセプトがありますと伝えたら、じゃあ話は聞きます。企画書を持ってきてくださいって言われたんですね。

 

ただ、企画書なんてつくったことはないし、テンプレートを使った企画書なんて見透かされるなって思ったんです。なので、ダメ元で想いを込めて手紙を書きました。納屋橋の資産を次の世代に受け継いでいきたいこと。今じゃなくても、いつかカブトビールがこの納屋橋の地に帰ってきたというようなふれ込みで、知っていただきたい。ということを手紙にしたためました。」



カブトビール

 

高山さん:「そしたら、次の日に理事長の馬場さんから電話がかかってきて、「一緒にやろう!まずは半田にこい!」と連絡をいただいたんです。まだ工事中の赤レンガ倉庫に行って、話をお聞きしました。馬場さんはものすごいエネルギッシュな想いを持っていて、想いをお聞きして、僕は絶対にこの人に恥を欠かせたくないと思いましたね。こうして、晴れて納屋橋でカブトビールが販売できるようになりました。」

 

 

カブトビール名古屋支店誕生!

 

トワイロ

 

高山さん:「最初は半田の人と一緒に納屋橋マルシェを開催して、カブトビールを名古屋で初めて売りました。

 

すべて完売をして、改めて、カブトビールの凄さを思い知らされましたね。その後も、イベントではカブトビールを販売していたんですが、次第に集客が減り、なんでだろう?って思ったときに、歴史的背景は蚊帳の外で、ビールそのものにしかフォーカスが当たっていないことに気づいたんです。このままではだめだと思い、一旦イベントでの販売を中止しました。」

 

トワイロ

 

高山さん:「そこで考えたのが名古屋にカブトビールの拠点をつくることです。カブトビールの歴史や、先人たちの想いをスマートに学べるベース基地をつくり、半田赤レンガ建物の存在意義や歴史的資産価値を知る気付きの場になればと思い馬場さんに相談したところ、「よし名古屋支店を復活させよう!」と背中を押してくれました!。

 

こうして、納屋橋に名古屋支店を復活させることになりました。今では半田の赤レンガでイベントをやるときは僕らもお手伝いに行くようにしていますし、僕らがイベントをやるときには半田からもサポートに来てくださっています。この場所を通じて先代たちが想いを持ってつくったものを、感じていただきたいですね。」

 

 

 

カブトビールを後世に残していく

 

トワイロ 展示

店内ではカブトビールをテーマに描き下ろした作品を、月替わりで展示しています。

 

カブトビール ポスター当時のポスター。

 

高山さん:「カブトビールは、5大ビールの中で最初にアートポスターを手がけた会社でもありました。それをもっと身近なものにするために、当時のアーティストとコラボをすることで作家さんたちを応援していたようなんです。

 

ポスターの種類も、海外向けにカッコいいものをやっていて、それも粋だなって思いますね。そんな時代背景があるので、うちでは作家さんがギャラリーを使うときには賛同を得られた方にだけ、カブトビールをイメージした新作の書き下ろしをお願いしているんです。開催期間中はトワイロで飾らせていただいているので、訪れたお客様には今この作家さんの展覧会をやっていますよ。とお伝えしています。

 

カブトビールが当時の作家さんを応援してきたように、僕らは現代の作家さんを応援できたらいいなと思っています。そうすると、作家さんも楽しそう!とのってくれるんですよね。SNSでも、歴史のあるカブトビールの絵を描かせていただきましたと、発信してくれるのは嬉しいですね。この場所からカブトビールを後世に残すきっかけになればいいなと思っています。」

 

 

 

トワイロの人気メニュー

 

カブトビール 明治

明治カブトビール650円

 

ここからは、トワイロの人気メニューをご紹介していきます。

 

噂の生カブトビールです。種類は明治と大正の2種類があり、いずれかのビールをいただけます。トワイロでは、毎週製造工場のある半田市に出向いて仕入れているので、出来立ての生ビールをいただけるんです。この日は、パリ万博で金賞に輝いた明治カブトビールをいただきました。

 

アルコール度数は少し高めの7%。黒ビールに見えますが、赤ビールなので渋みが少なくスッキリとした飲み心地なんです。



額縁 コースター

 

コースターは額縁になっていて、思わずテンションが上がりました!お客様からもとても人気があるのだそう。

 

ナチョスチーズと野菜たっぷりのメキシカンナチョス800円

 


 

トワイロでは、カブトビールだけでなく、マスター自慢の料理もとってもおいくて評判です。こちらは、人気メニューの一つ、チーズと野菜がたっぷり入ったメキシカンナチョスです。キャベツのシャキシャキ感とナチョスの相性が最高の組み合わせです。

 

トワイロスペアリブ 1,400円

 

自家製のスペアリブは食べこたえ十分です。じっくりと煮込んでつくりあげているため、お肉はホロホロ。トワイロ不動の人気メニューです。

 

トワイロビーフストロガノフ1,000円

 

筆者も大好きなビーフストロガノフ。牛肉の旨味と玉ねぎの甘みがしっかり溶け込んだ本格的な味わいです。

 

ランチタイムにはドリンクもセットでついてきますよ!今回ご紹介した以外にも、ビールやお酒にマッチするメニューが盛りだくさんなので、ぜひ堪能してみてくださいね!

 

 

一歩足を踏み入れると大正時代にタイムスリップしたような歴史ロマン溢れる空間が広がる納屋橋トワイロ。先人たちが歩んできた歴史を感じながら、生カブトビールをぜひ堪能してみてくださいね。

 

 

【納屋橋TWILO カブトビール名古屋支店(ナヤバシトワイロ)】
営業時間:12:00〜23:00(LOフード22:00、ドリンク22:30)
定休日 :日曜、祝日
https://www.facebook.com/納屋橋TWILO-998687143617833/