近鉄四日市駅から徒歩数分の場所に位置する「そらんぽ四日市」。館内には3つの施設があり、「四日市市立博物館」では等身大の人形を使った常設展示「時空街道」や世界一に認定されたプラネタリウム、環境の視点から四日市を理解する「四日市公害と環境未来館」があり、四日市市の歴史や文化に触れながら楽しく学べます。
夏休みの自由研究のために、親子で訪れる人も多いそう。休日や連休には、ぜひ家族で訪れてみてはいかがでしょうか。
今回は、四日市市立博物館の見どころをリポートします!
目次
四日市市立博物館はどんな施設?
1993年11月1日に開館し、その後2015年3月21日にリニューアルオープンした四日市市立博物館。郷土を大切にする心を育みながら世代をつなぎ、そして市民の創造性を高めることを目的に設立されました。
施設は1〜5階のフロアごとに展示が分かれていて、それぞれ異なる展示が見られます。
1階にはロビー、ミュージアムショップ、図書コーナー、展示・交流・学習スペースがあり、2階の「四日市公害と環境未来館」では、明治時代から現代までの四日市のあゆみが環境の視点から展示されています。3階には博物館の常設展示である「時空街道」があり、原始・古代から江戸時代までの四日市のあゆみを原寸大再現で展示。2階・3階を見ると、原始・古代から現代までの四日市がわかります。
4階では時期によって異なる展覧会が行われ、5階には美しい星空が再現されるプラネタリウム「GINGA PORT 401」があります。
プラネタリウムではさまざまなプログラムが投映され、夏休みの時期にはアニメとコラボしたプログラムも!
館内には子どもたちが楽しみながら見学・体験ができるよう、ワクワクする工夫があちこちに施されていました。さっそく、四日市市立博物館を見ていきましょう!
星の数が世界一!?細部までこだわり抜いた
プラネタリウム「GINGA PORT 401」
博物館の5階にあるプラネタリウム「GINGA PORT 401」。宇宙の港をテーマとして、港から宇宙に出かけて地球を眺めたり、さまざまな天体を訪ねたりするような体験ができます。
最大の特徴は、1億4千万個以上と世界最多の星を映し出す投映機。これは、最先端技術を集約してGINGA PORT 401のために作られました。肉眼で見ることのできる約9,500個の星の固有色も再現可能しているため、自然で色彩豊かな美しい星空を視界いっぱいに楽しめます。
美しい星空を映し出すための設備に加え、プログラムを体験する環境にも細部までこだわり抜かれています。
例えば、観覧席のシートもプラネタリウムのために新たに開発されたものです。人間工学に基づいて設計され、同じ面に硬さの異なる複数のクッションが使われるなど、さまざまな工夫が。実際に小学生に座ってもらうなどの調査を行い、快適な姿勢で星空を見上げられます。
座席には手のひらサイズのリモコンが設置されており、クイズなどの企画ではボタンを押して参加も可能です。
そして、小さな子どもがいる場合には親子で座れるシートも。遮音室や車いす用リフトなど、より多くの人が快適に過ごせるような心配りがされています。
上映プログラムは「季節番組枠」と「特別番組枠」があり、時期によって異なります。季節番組枠は、アニメやキャラクターとコラボした「ファミリー番組」、美しい音楽や映像とともに星空や宇宙を楽しめる「一般番組」の2種類。特別番組枠は「夜間特別番組」「幼児番組」「環境番組」の3つに分けられます。
投映スケジュール・番組タイムテーブルは四日市市立博物館の公式サイトで確認できます。
■番組タイムテーブルはこちらからチェック
■投映スケジュールはこちらからチェック
まるで宇宙船のような空間!
コズミックギャラリーで宇宙について学ぶ
プラネタリウムと同じフロアには、太陽系の天体について学べるパネル展示「コズミックギャラリー」も併設されています。
ネオンのような光が並ぶ回廊は、まるで宇宙船の入口に続く通路のよう!近未来的でワクワクしますね。
ここでは、太陽系の天体についての情報や、未来創造図を交えたグラフィックなどを展示。実際にJAXAに所属していた人が監修しており、分かりやすく詳しく説明されています。
四日市市は、2012年10月にJAXAと宇宙教育活動に関する協定を締結。学校の授業や市主催のイベント、博物館などで、宇宙開発や宇宙について知ってもらうためにさまざまな取り組みを行っています。
さらに、同じフロアにあるコズミックラウンジでは、博物館と天文ボランティアが協働して天文教室や科学工作教室を開催。宇宙について楽しく学べる環境が整っています。
江戸時代までの四日市市のあゆみが分かる!
常設展「時空街道」
3階の「時空街道」は、時間と空間を自在に行き来し、四日市のまちの発展と人々のくらしの変化を感じられる体感型の常設展です。原始・古代から江戸時代までの四日市の歴史が、原寸大で細かく表現されています。
時空街道へ入ると、弥生時代のくらしが再現されています。これは、四日市市にある久留倍の村にくらす弥生人の家族。竪穴式住居で食事をする風景で、約2000年前の様子を表しています。
家の中には、食事をしている家族がいます。魚や野菜など、食事の内容や後ろに映る風景は、季節によって変わるそう。四季折々の弥生人のくらしを見ることができますね。
次に表れるのは、今から500年ほど前に開かれていた「四日の市」の様子。毎月四のつく日に市が開かれていたことが、四日市の地名の由来となったと言われています。
伊勢湾に通じる道を中心に店が建ち並び、市場の一角には四日市場浦と呼ばれた港があったようです。ここでは、布や紙、土の焼き物、海産物の店などが並んでいます。
近くで見ると、とてもリアル!世間話や情報交換をしているのでしょうか、それとも買い手が値切っているのでしょうか?会話を想像してみると、より楽しめそうです。
市場の奥には四日市場浦の再現も。当時は多くの人で賑わい活気にあふれていた様子が想像できます。
そして、さらに進んでいくと、江戸時代の四日市宿が現れます。江戸時代、徳川家康は京都と江戸の間に宿場を置き、荷物や文書をリレーのように交代して運ぶ「伝馬制度(てんませいど)」を確立しました。これらの宿場は「東海道五十三次」と呼ばれ、四日市宿はこのうちの43番目の宿場だったのです。
宿場町には、人や馬の差配を取り仕切る重要な施設「問屋場(といやば)」を中心に、旅籠屋や高札場などが並びます。
宿場町の中で最も重要な施設でもある問屋場は、他の建物よりも床が高くなっています。これは、座って仕事をする役人に、旅人が立ったまま話をするのにちょうど良い高さにするためです。
宿場と宿場の間には、間の宿という休憩場所があり、茶店などが置かれていました。茶店には広い土間があり、かまどで湯を沸かしたり饅頭をせいろで蒸したりしています。店の中には座敷がありますが、土間や店の外に床几(しょうぎ・腰掛けのこと)を置くことで、旅人はわらじを脱ぐことなく休憩できるようになっています。
時空街道の茶店では、春〜夏は日永の饅頭、秋〜冬は富田の焼きハマグリと展示が変わるのも注目ポイントです。
また、「時空街道」は30分で一日の時間が流れるように、照明が明るくなったり暗くなったりします。朝や昼、夜と街の表情が変わる様子を見られるのも特徴です。
時空街道と同じフロアには、四日市市名誉市民の作家・丹羽文雄の作品や原稿の展示、自宅を再現している「丹羽文雄記念室」も見られます。
明治時代以降、近代の四日市がわかる
「四日市公害と環境未来館」
時空街道のある3階から階段で降りると、2階には四日市公害と環境未来館があります。
このフロアでは、四日市のまちに公害が発生し、どのような被害が起きたか、また市民や企業、行政は改善に向けてどのように取り組んできたのかが分かります。
戦後の復興から高度経済成長期に入った昭和30年ごろの日本では、四日市市を含め全国各地で大規模な工場が次々と建設されました。そして、工場周辺ではさまざまな公害が発生したのです。四日市市でも、大気汚染によって多くの人々がぜん息症状を訴えるなど「四日市公害」と呼ばれる深刻な公害問題が発生しました。
「水俣病」「新潟水俣病」「イタイイタイ病」「四日市ぜんそく」は日本の四大公害として学校で学んだ記憶がある方も多いのではないでしょうか。
四日市公害と環境未来館では、当時の状況や立ち上がった市民らによる裁判の様子、市民・企業・行政による環境改善への取り組みなどが、パネルや映像などを用いて臨場感とともに理解を深められます。
ミュージアムショップではオリジナルグッズの
購入が可能
博物館の1階にはミュージアムショップがあり、記念品やオリジナルグッズを購入できます。「12星座クッキー」「はまぐりパイ」などのお菓子をはじめ、オリジナル風呂敷などさまざまなグッズがズラリ。また、JAXAや天体に関する商品や投映番組の関連商品なども展開しています。
来館の記念に、ぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。
自由研究や自主学習にも役立つ!
楽しく学べるそらんぽ四日市へ行ってみよう!
そらんぽ四日市は、誰でも無料(※)で利用できる学びの施設です。JAXAと提携したコズミックギャラリーやプラネタリウムをはじめ、時空街道や四日市公害と環境未来館など、四日市市民でなくても十分に楽しめるコンテンツが豊富です。
大人も子どもも新たな発見につながるさまざまな工夫がされているため、親子で楽しめるでしょう。
夏休みの自由研究や自主学習にも役立つそらんぽ四日市へ、ぜひ行ってみてはいかがでしょうか。
※プラネタリウムの観覧は有料。1階の総合受付で購入可能です。販売は当日券のみ。
※4階は展覧会により料金が異なります。