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半田市のある知多半島は、江戸時代から日本有数の酒造りの地域でした。お酒以外にも、味噌・醤油・酢などの醸造品も盛んです。半田は酒粕からお酢をつくり出す画期的なイノベーションを生み出した地。江戸前ずしブームのきっかけにもなりました。
今回は、そんな半田の文化や歴史に触れながら、学んで楽しめるスポットをご紹介していきます。ぜひ週末のお出かけの参考にしてみてくださいね!
楽しみながらお酢を学べる
「ミツカンミュージアム(MIM)」
半田と言えば、”お酢”で有名な会社「ミツカン」ですよね。
まずは、2015年11月に完全リニューアルされた「ミツカンミュージアムMIM」へ行ってみましょう。「ミツカン」の酢造りの歴史や、食文化の魅力などを楽しく学べる体験型の博物館です。
場所はJR武豊線「半田」駅から徒歩3分、名鉄河和線「知多半田」駅から徒歩13分の半田運河沿いにあります。昔はここで工場用の水を採取したり、完成したお酢を船で運んでいたそう。ミツカンのマークがいたるところにあります。
「大地の蔵」ゾーンでは、江戸時代の酢造りや、現在の醸造の様子を見ることで、脈々と受け継がれてきたものづくりの精神にふれることができます。
「時の蔵」ゾーンでは、ミツカングループの歴史が絵巻物のように描かれ、ミツカンの変革と歴史を学ぶことができます。
実は江戸前ずしとミツカン粕酢には深い関係がありました。江戸では、今の握りずしの原型である『早ずし』が流行。当時はまだ高価だった「米酢」が使われていたので、粕酢にすることでもっとおいしく手軽なすしがつくれると、又左衛門は江戸への売り込みを開始します。米酢よりも甘みと旨味のある粕酢は、すしによく合うと瞬く間に人気をはくしたのです。
中央にある巨大なオブジェは、江戸時代に半田から江戸までお酢を運んだ「弁財船(べざいせん)」を実寸大で再現したものです(長さ20メートル、高さ5メートル、重さ20トン)かなり大きな船ですが、これよりも大きな船で運ぶこともあったそうですよ。
最後は「光の庭」ゾーンへ。さまざまな体験を通して、食の魅力を楽しく学ぶことができます。おそらくお子さんはこのゾーンが一番テンションがあがるのではないでしょうか。

「すし大陸」と名付けらたテーブルには、20種類以上の握りずしが1,000貫以上並びます。

「マイポン酢」がつくれる「味ぽんスタジオ」

自分の身体を使って「す」の文字を完成させる「フォトすポット」なんかもあります。
「ミツカンミュージアム(MIM)」は、大人だけでなく、子どもも、家族みんなで学べる博物館です。楽しくミツカンの歴史や、酢造りの奥深さを学んでみませんか。
【ミツカンミュージアム(MIM)】※見学は事前予約制となっています。
住所 :愛知県半田市中村町2-6
電話番号 :0569-24-5111
営業時間 :9:30〜17:00
定休日 :木曜日(木曜日が祝日の場合は開館、翌金曜日が休館)、年末年始
駐車場 :第一 約40台 、第二 約100台(バス8台有)
握りずしの原型「早ずし」を食べてみよう!
「寿司会席 真砂本店」
先ほどミツカンミュージアムの中で登場した、握りずしの原型である『早ずし』。実は、早ずしが味わえるお店が、半田市に3店舗だけあるんです!
ミツカンが江戸時代の粕酢「三ツ判 山吹」を復刻したことをきっかけに、半田市内の寿司屋の何店舗かが集まり、残っている文献や資料から製法や原料を調べ、当時のお寿司を忠実に再現したのが「尾州早すし」です。肉体労働の方が多かった時代なので、一貫はなんと今の3〜5倍の大きさ!また、保存がきくように青魚を酢に漬けたり、漬けまぐろにしたりとネタに仕込みをすることも特徴です。
今回は、そんな尾州早すしを味わえる「寿司会席 真砂本店」をご紹介します。
「尾州早寿し御膳」 ¥1,500
まぐろ・えび・穴子の早すし 3 貫に、天ぷら、焼き魚、赤だし、小鉢などがついた「尾州早寿し御膳」。写真にはありませんが、煮物もいただきました。ボリューム満点!
こちらが念願の尾州早すし!お酢だけでなく、海苔や米も知多産のものが使用されています。
手に持ってみると、かなりの大きさです!昔の握り寿司は、字のごとく手全体で握っていたのだそう。粕酢「三ツ判 山吹」を使用したシャリは、ふんわりとお酢の旨味が広がります。現代のお寿司よりも、甘さを感じました。
半田でしか味わえないご当地の味です。ぜひ、江戸時代の早すしを味わってみてくださいね!
【寿司会席 真砂本店(まさごほんてん)】
住所 :愛知県半田市北二ツ坂町 2-15-3
電話番号 :0569-21-0547
営業時間 :11:00-14:00|17:00-22:00
定休日 :木曜日
駐車場 :18台
幻の「カブトビール」が味わえる
「半田赤レンガ建物」
ミツカンミュージアムと合わせて訪れていただきたいのが、「半田赤レンガ建物」。実は、ミツカングループと深い関係がある場所なんです。
「半田赤レンガ建物」は、およそ半世紀の間だけ生産され、”幻のビール”と呼ばれている「カブトビール」を生産していた醸造所。これまでは年に数回だけの一般公開でしたが、2015年に観光施設としてリニューアルしました。
半田市のある知多半島は、江戸時代から酒・味噌・醤油・酢などの醸造品造りが盛んな地域でした。現在のミツカングループにつながる「中埜酢店(なかのすみせ)」が誕生したのも、ここ半田です。その中埜酢店の四代目・中埜又左衛門と、敷島製パン創業者・盛田善平らにより、明治22(1889)年に「丸三ビール」と名づけられた瓶詰めビールが出荷されたことがカブトビールのはじまりです。
明治31(1898)年に、ドイツから機械技師と醸造技師を迎えて、半田町榎下に新ビール工場となる半田赤レンガ建物を建設。「加武登麦酒」と改め、本格的なドイツビールの醸造を開始しました。その後たった2年でパリ万博にて金賞を受賞。大手4大ビールメーカーに迫る勢いで普及していきました。
そして、半田赤レンガ建物では、実際にカブトビールを味わうことができるんです!
館内にはカフェ「CAFE BRICK」が併設されています。復刻した「生」のカブトビールや、地元の食材を使ったおつまみがいただけます。歴史的な建物で幻のビールをいただく、とても贅沢な空間です。

カブトビール飲み比べ ¥800(明治と大正 ミニグラス各230ml)
カブトビールは2種類あります。
写真左側が、「明治カブトビール」。明治時代のパリ万博で金賞を受賞した本格ドイツビールです。アルコール度数は少し高めの7%。黒ビールに見えますが、赤ビールなので渋みが少なくスッキリとした飲み心地なんです。
そして右側の黄金に輝いているのが「大正カブトビール」。クセがなく爽やかな飲み心地なので、グイグイっと飲めちゃいます。誕生背景や歴史を知った上でいただくカブトビールは、格別です!
半田赤レンガ建物は、カブトビールはもちろんのこと、半田市の歴史も感じることができる場所でした。歴史を学び、実際にそのビールが飲めるなんてなかなかないですよね。ビール好きには、ぜひ一度は足を運んでいただきたいです。
【半田赤レンガ建物】
住所 :愛知県半田市榎下町8番地
電話番号 :0569-24-5111
営業時間 :10:00〜17:00
定休日 :年末年始
駐車場 :当館の駐車場は、隣接のナゴヤハウジングセンター半田会場との共用
今回は、愛知県半田市でおすすめのスポットを特集させていただきました。半田の街とお酢や酒などの醸造品は深い関係にあったのですね。
名古屋からも比較的行きやすく、日帰り旅行にもぴったり半田。ぜひ週末旅行の参考にしてみてくださいね。