スウェーデン国内で世界遺産に登録されている場所は文化遺産が13件、自然遺産が1件、そして複合遺産が1件の計15か所です。
今回はその中から、日本ではあまり知られていない厳選した9箇所をご紹介したいと思います。
目次
1.ドロットニングホルムの王領地(Drottningholms slott)
別の記事でご紹介した事のある、ドロットニングホルム宮殿。こちらの全敷地が世界遺産として登録されています。
ストックホルム市街からもアクセスしやすい郊外のローベン島にある離宮。スウェーデン王カール11世の母后ヘトヴィヒ・エレオノーラの命令によって1662年に建設がはじめられ、庭園にバロック様式を採用して1686年に完成しました。
現代でも当時の贅を尽くした美しい装飾を見る事が出来ます。
こちらは”人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積または景観の優れた例”として世界遺産に登録されています。
所在地
Slottsstallet 11, 178 93
2.ハンザ同盟都市ヴィスビュー(Visby)
魔女の宅急便の街並みのモデルになった、10世紀当時の趣をそのまま残す国際的に有名な街ヴィスビュー。旧市街を囲む3.5kmの城壁など、当時の様子を完璧に残した状態を今も見ることができます。
ストックホルムからも船の旅が出ていて、日程に余裕があればアクセスしやすい世界遺産の1つです。バラの町とも呼ばれ、シーズンになると美しいバラの花を島のあちらこちらで見ることができます。
Visby観光サイト
https://gotland.com/besoka-uppleva/kultur-noje/en-dag-i-visby/
3.ホーヴゴーデン(Hovgården)
ホーヴゴーデンは、メーラレン湖に浮かぶアデルスユー島(Adelsö)に残る遺跡で、この島はヴァイキングが10世紀から11世紀にかけて占領した事で知られています。バイキング時代以来の数千に及ぶ墓所があり、農民たちだけでなく、歴代の王族や豪族の墓もあります。
ストックホルムからはバスを乗り継いで1時間半ほどで行けますので、日帰りで十分に足を運べる世界遺産となっています。
所在地
Hovgårdsvägen, 178 92 Adelsö
4.カールスクルーナの軍港(Karlskrona)
スウェーデン最南部のブレーキンゲ地域の県庁所在地であるカールスクルーナ。ここにはスウェーデン海軍の軍事基地と海港があります。ここの軍港は、17世紀から18世紀初頭に建築され、300年もの間どこからも攻撃を受けなかったとして、当時そのままの状態で残ってる事で有名です。
ちなみにカールスクルーナ港の全面には多数の群島があり、自然の要塞をなしている事でも知られています。
所在地
Örlogshamnen, 371 23 Karlskrona
5.エンゲルスバーリ製鉄所(Engelsbergs bruk)
ストックホルムからもほど近い、ヴェストマンランド地方のエンゲルスバーリ村にある製鉄所。1681年に建設された製鉄所で、19世紀まで現役の製鉄所として活動していた事で知られています。こちらも1600年代に建設されたそのままの姿を今でも見る事ができます。
エンゲルスバーリは300年以上の間スウェーデンの鉄鋼生産を支え、当時の建物が50以上現存していますが、1919年に建物の老朽化の為使われる事はなくなりました。
ストックホルムからは電車とバスで2時間と少しで行けますので、こちらも日帰りの範囲で訪れることが可能です。
所在地
Snytenvägen 5, 737 90 Ängelsberg
6.ターヌムの岩絵群(Hällristningsområdet i Tanum)
スウェーデン西部の町ターヌムスヘーデ(Tanumshede )周辺に残る岩石線画群(ペトログリフ)です。100枚ほどのパネル画に約3,000の岩石線画が描かれています。
青銅器時代から鉄器時代にスカンジナビア半島で暮らしていた人々は、洗練された木材加工技術を持ち、舟を使った移動にも長けていたそうです。ちなみにスカンジナビア半島における青銅器時代はおおよそ紀元前1800年から前600年頃とのこと。実際、岩石線画には、長い舟を描いたものも少なくありません。かなり歴史のある世界遺産です。
場所はスウェーデンの東海岸に位置するストックホルムから正反対の西海岸近くにありますので、スウェーデン第二の都市イェーテボリからの方が近いです。
所在地
457 93 Tanumshede
7.ラポニア地域(Laponian)
総面積はなんと約9,400平方キロメートルで、定住民族が暮らしているにもかかわらず手付かずの自然が残されている地域としては世界最大級のラポニア地域。この地域に暮らす先住民族はトナカイを追って暮らしてきたサーメ人(ラップ人)です。
ラポニア地域はあまり耳にした事の無い方が多いと思いますが、スウェーデン北部ラップランドのうち、自然が多く残る山岳地帯を対象とし、ノールボッテン県のイェリヴァーレ(Gällivare)、ヨックモック(Jokkmokk)、アリエプローグ(Arjeplog)の3つのコミューンにまたがっています。
登録地域の95%は国立公園または自然保護区で、高山帯と北極の野生動物が多く生存しています。
8.スコーグスシュルコゴーデン(Skogskyrkogården, 森の墓地)
ストックホルム郊外にある共同墓地。設計コンセプトと造形には、ナショナル・ロマンティシズムから北欧新古典主義を経て、成熟した近代建築へと到達した同国の建築潮流の変遷が反映されています。20世紀以降の建築作品としては、世界で最も早い世界遺産への登録であった事でも知られています。ここに眠っている世界的な有名人の中には、女優のグレタ・ガルボやミュージシャンのAviciiがいます。
ストックホルム中央駅から、地下鉄で緑の18番に乗りスコーグスシュルコゴーデン駅で降りればすぐです。30分ほどで到着する事が出来ますので、こちらも十分に日帰りが可能な世界遺産の1つ。
所在地
Sockenvägen, Stockholm
9.ヘルシングランドの装飾農家群(Hälsingegårdar)
北東部に位置するヘルシングランドには1,000以上の木造建造物が残っています。そのうち豪華な内装が施された7つの木造農家が世界遺産として登録されています。
これらは亜麻の栽培や森林開発で富を得た農家によって、18~19世紀に建てられたもの。いずれも祭礼用の部屋を持つ事で知られています。
壁に張られたキャンパスや織物、木造の天井や壁に直接描かれた絵などの装飾が特徴のこれらの家屋は、地域の建物と民族芸術の伝統が融合したものであり、北東ヨーロッパに根付いた民俗文化の栄華の、最終段階を示す点で重要とされています。
世界遺産に登録されている7軒の農家は、すべて木で出来ています。デコレーションが、レトロで可愛いですね。
所在地
Gamla Orbadenvägen 29, 821 67 Vallsta (Gästgivars:登録されているうちの1軒)
以上、スウェーデンの世界遺産9選をお届けしました。意外にもストックホルムから行きやすい世界遺産も少なくありませんでしたね。お越しの際には、気になる世界遺産にぜひ足を運んでみてください!
今回紹介していない世界遺産は以下になります。
・ルレオのガンメルスタードの教会街
・エーランド島南部の農業景観
・ファールンの大銅山地域
・ヴァールベリの無線局
・シュトルーヴェの測地弧
・ヘーガ・クステンとクヴァルケン群島
昔の姿を今も残す、スウェーデンならではの遺産が並びます。