【文化のみちを歩こう】発明王と呼ばれた豊田佐吉の実弟・豊田佐助の邸宅「旧豊田佐助邸」

2019.1.7
旧豊田佐助邸

名古屋城から徳川園に至るエリアは、文化人・財界人の屋敷が連なり「文化のみち」と名付けられています。 江戸時代から明治、大正へと続く名古屋の近代化を担った文化人たちが暮らした歴史的建造物が今も多く残されています。

 

「文化のみち」エリアには、かつてトヨタグループの礎を築き上げた豊田家一族の館が集まっていました。「旧豊田佐助邸」は、その中で唯一現存する建物です。豊田佐助とは、発明王・豊田佐吉の実弟で、豊田紡織の社長を務め、兄・佐吉を支えた実業家です。

 

大正時代の建築様式を今に伝える「旧豊田佐助邸」をご紹介していきます。

 

 

「旧豊田佐助邸」とは?

 

旧豊田佐助邸

 

「旧豊田佐助邸」は、発明王と呼ばれ現在に至るトヨタグループの礎を築き上げた創始者・豊田佐吉の実弟・豊田佐助が住んでいた邸宅です。大正12年に建設。白いタイル貼りの木造の洋館と、広い間取りの和館で構成されています。

 

この邸宅の歴史は、大正4年に佐吉の娘・愛子と結婚した婿養子の豊田利三郎が、新居として洋館部分を建てたのがはじまりと考えられています。しかし昭和7年に、利三郎はさらに広い土地を求め、「旧豊田佐助邸」の北側にある白壁町筋に移り住みます。

 

その後大正12年頃に、佐吉の弟の佐助が和館を増築して住みはじめました。佐助には5人の子供がいたとされ、相当な広さが必要だったようです。洋館は上が陸屋根になっており、豊田一族の子供たちの遊び場になっていました。

 

豊田佐助の写真
豊田佐助の写真が展示されていました。


豊田佐助は、質実剛健でありながら独特の美学と先見の明にあふれた人物でした。水洗トイレや電話ボックスを導入したり、関東大震災前の時代でありながら耐震構造を取り入れるなど、「旧豊田佐助邸」には、佐助の先進的な考え方が随所に反映されています。

 

この白壁地区にはその昔、兄の佐吉やその実子でトヨタ自動車の創業者である豊田喜一郎など一族の邸宅が集まっていたとされていますが、現存している館はこの佐助邸のみです。太平洋戦争後に米軍に接収され将校の住宅となっていた時期もありますが、その後アイシン精機の所有となり、現在は名古屋市が借用し一般公開しています。

 

旧豊田佐助邸


ではさっそく「旧豊田佐助邸」の中を見学してみましょう。「文化のみち二葉館」「文化のみち撞木館」とはまた少し異なる和洋折衷のスタイルがみどころです。

 

廊下


廊下は邸宅とは思えないゆったりとした造りになっています。左側の扉の中は、書生室だったそう。

 

階段

 

階段も上る人と下りる人がすれ違えるよう幅広につくられています。多くの人がこの邸宅を訪れていたのでしょう。

 

 

 

鶴亀マークの換気口がユニーク
洋館の応接室

 

応接室

 

応接室

 

天井


玄関入ってすぐの場所は、洋館の応接間です。実業家として活躍していた豊田佐助の邸宅というだけあり、来賓を迎えるための贅を尽くした室内です。蓮の蕾をイメージした照明がポイント。吊元部にも細かな装飾がほどこされています。

 

換気口

 


応接室では、ぜひ天井を見上げてみましょう。

 

この部屋で、一番のみどころは天井の「換気口のデザイン」です。おめでたい鶴と亀がモチーフで、「と」「よ」「だ」の三文字があしらわれているんです。

 

 

 

豊田一族の歴史が学べる
1階の和室

 

和室

 

和室

 

縁側

 

1階の和室は4部屋あり、ふすまを開け放てば婚礼なども可能なほどの広さです。4部屋の周りは廊下で囲われ、移動するのに各部屋を通らなくてもよい造りになっています。ここで来客との商談なども行われていたといわれています。豪華な黄金のふすまは当時のまま残されたもの。

 

 

 

豊田家の家系図やふかりの品なども展示され、豊田一族の歴史を学ぶことができます。

 

 

 

 

豪華な襖がすばらしい和洋折衷な2階

 

 

2階の和室も、1階同様に当時の豪華なふすまが当時のまま残されています。それぞれふすま絵が異なり、これらを鑑賞するのも楽しみのひとつ。

 

 

富士山が描かれたふすま。豊田家の出身地である静岡県湖西市の風景が描かれているのだとか。

 

松の絵柄のふすま。1階のふすまに描かれている若松が成長し、2階では立派な松になったという遊び心が隠されています。

 


そして最後には大木となり、松林になるというストーリーが描かれているんです。

 

 

 

洋館部分の2階は、和室の周りを洋風建築の階段が取り囲んでいるというのも、ポイントです。当時はまだ、生活スタイルが和風だったことがうかがえます。

 

 

 

和館2階からは見ごとな庭園を望めます。

 

 

欧米住宅の合理性と日本邸宅の伝統を調和させた和洋折衷の館。一つの邸宅の中に、違和感なく和と洋のエッセンスが散りばめられていることに衝撃を受けました。また、これだけ見応えがあって、入場無料ということも驚きです。

 

先進的な設備、和と洋の見事な融合、ふすま絵のデザインなど、トヨタグループのサクセスストーリーの背景を感じることができました。

 

【旧豊田佐助邸】
住所   :名古屋市東区主税町3-8 MAP
電話番号 :052-972-2780
営業時間 :10:00~15:30
定休日  :月曜日(祝日の場合はその翌日) / 12月29日~1月3日

http://www.futabakan.jp/data/f011.html