【文化のみちを歩こう】優雅なティータイムも楽しめる。大正ロマンを感じる邸宅「橦木館(しゅもくかん)」
目次
名古屋の陶磁器産業について学べる展示室
洋館2階と和館にそれぞれ展示室があります。
森村組の下請けからはじまり、陶磁器加工問屋として事業を拡大していった井元為三郎。サンフランシスコ、シンガポールなどに支店を構え、輸入事業も手広く展開していきます。また、名古屋陶磁器貿易商工同業組合の組合長を務めるなど、陶磁器産業の発展のために多大の貢献を果たしました。
この文化のみち周辺は、瀬戸や多治見へ続く街道沿いにあり、堀川の船着場にも近かったことから、陶磁器の絵付けや加工業者が多く集まっていました。当時日本でつくられた輸出用陶磁器の7割以上がこのエリアで加工されていたのだといいます。
大正ロマン溢れるステンドグラス
2階サンルーム
そして、橦木館でぜひ注目していただきたいのが「ステンドグラス」。海外との交流も多かった井元為三郎のセンスが光っています。
橦木館のステンドグラスは、ドイツ、オーストラリアに興った分離派である「ゼセッション」の影響を受けたデザインと、アメリカン・アール・デコのデザインがさりげなく使われています。アメリカン・アール・デコの意匠は、昭和に入ってから日本中に広まり、建築をはじめ、室内装飾や生活用品など、さまざまな形で広がっていきました。橦木館のステンドグラスは、この流行に先駆けた作品です。
2階の旧娯楽室とサンルームの間に設置されたステンドグラス。ダイヤ・クローバー・スペードのマークが取り入れられています。
玄関のステンドグラス。「文化のみち二葉館」ほどの派手さはありませんが、館内の随所にさりげなく取り入れられています。
受付の方から、ステンドグラスに関する素敵なお話を教えていただきました。旧応接室にあるこちらのステンドグラスには、2羽の青い鳥が描かれています。
受付付近のステンドグラスと、旧応接室の入り口のドアにも同じく青い鳥が描かれています。この2羽の鳥たちが出会った様子を描いたものが、最初にご紹介されたステンドグラスと言われているそうです。