【スウェーデンの暮らし】春の到来を祝う伝統行事「Valborg」 ヴァルプルギスの夜

2019.5.10

緑豊かな大自然、おしゃれなインテリア、ゆったりと流れる時間。北欧の暮らしって憧れますよね。特集「スウェーデンの暮らし」では、現地からリアルな北欧の暮らしをお届けします。紹介してくれるのは、スウェーデン在住のライター新谷 友海さんです。


今回はスウェーデンにかかせない行事、春のイベントのひとつをご紹介したいと思います。それは4月30日のValborg(ヴァルボリィ)またはValborgsmässoafton(ヴァルボリスメッソアフトン)と呼ばれる日に行われる、大きな大きな篝火を焚く伝統行事です。

 

1枚目の写真は、その篝火に火が灯される前の状態で、火は日が沈む前に点火されます。Valborg、日本語で「ヴァルプルギスの夜」。日本では馴染みの無い行事ですよね。

 

 

こちらは日が暮れる前に配られる、なんと無料のホットドッグ!この日は特別な日ですので、篝火の前にもさまざまな催し物が用意されています。

 

ではその特別な日Valborgとは…?

 

一体何の日かというと「春の訪れを祝う日」なんです。長く暗い冬があけて、雪で眠っていた草木が一気に目覚める時を皆で精一杯祝う日。冬が暗くて長いスウェーデンに住む人々にとっては特別な日です。

 

まさにここ最近、茶色だった裸の木々も一斉に葉をつけ始め、自然の色も鮮やかなグリーンが目に飛び込んでくるようになりました。

 


さて、篝火を見る為に多くの人たちが集まってきますが、火が灯されるまではライブ演奏やダンスに子どもたちが参加できるサッカー等などで楽しむことができます。もちろん、先ほどご紹介したホットドッグも!

 

写真を見ると、皆4月の最終日だというのに、厚着ですよね。数日前まで桜が満開で夏日のようだったのに、一気に気温が下がってなんと雪が降ったんです。スウェーデンの春の気候はこんな感じで暑く成ったり寒くなったりを繰り返します。6月にある夏至祭、そして夏真っ盛りの6~7月はもうすぐそこまで来てはいるんですが。

 

こちらはバンド演奏中に可愛らしい3人組が飛び入りした時の一枚。音楽に合わせて3人でダンスをしていました。

 


こちらはスウェーデンらしいなと思って撮影した光景。ベビーカーを押したママ友……ではなくパパ友ですね!スウェーデンでは、ベビーカーを1人で押してお出かけしているパパを大勢見かけます。

 

日本でいう支援センターのような子どもを遊ばせることができる場所では、なんと同じ部屋にいた保護者が全員パパ(6人ほど)だった事も!日本とはだいぶ違うでしょうね。

 

スウェーデンではパパも十分な育休が取れるので、育児ももちろん半々で分担して行います。パパがしっかりと育児に参加して、リードすらできてしまう土台がしっかりとあるからでしょう。専業主婦の女性もほとんどいません。

 

 

さて、Valborgといえば忘れてはいけないのが学生達による春の歌。春を祝う演説が行われた後、春を祝う歌の合唱が行われ、夜が来ると大きなかがり火に火を灯すのが伝統なんです。綺麗な歌声が毎年響きます。

 

ちなみにこの日4月30日は、スウェーデン国王のカール16世グスタフの誕生日でもあります。今年は国王の73歳を祝いました。春の訪れとともに祝う国王の誕生日。なんともめでたい日です。

 

 

中央左の子は、歌詞でも忘れたのでしょうか?隣の子の歌詞を見ています。後ろにはシニアのおじさんも混ざっています。お揃いの帽子がカッコいいですね!皆たくさん練習したのでしょう。とても真剣に歌っています。だんだんと日が落ちる中響く歌声は、どことなく幻想的です。

 

 

合唱が終わると、いよいよ篝火へ火を灯します。皆、待ちに待った点火の瞬間。1年に1回だけの、春の訪れを皆で祝う伝統的な日。

 

 

さあ、大きな篝火に火が灯りました!とても大きな炎が舞い上がっているのがお分かりいただけるでしょうか?近くによると熱いので、皆遠巻きに炎が消えるまで眺めたり、写真を撮ったり、ダンスをしたり思い思いに過ごします。

 


パチパチと、大きな音を立てて激しく燃えるValborgの篝火。風強いと、火の粉が舞い上がってちょっと危ないですが。辺りはすっかり暗くなってきています。

 

ちなみにこの篝火、街の大きな広場を使い何か所かで行われます。ですので大きな街ですと10か所ほど篝火を焚きますし、小さい街でもエリアごとに数か所篝火が焚かれます。大きな街であれば、篝火が燃え尽きるまではちょっと時間がかかるので、篝火のはしごも出来てしまいます。

 


燃えたつ大きな篝火の炎。炎が燃え尽きるまで、皆そこに佇んでいます。

 

スウェーデンでは今のような篝火は、18世紀に中部のUppland(ウップランド地方)で始まり、Svealand(スヴェアランド地方)で確立されたとされています。とても伝統のある、春のイベントです。

 


さてさて、今回ご紹介した4/30のValborg


春の訪れを祝う伝統的なイベントなのですが、春が来たはずなのにこの日の前後、または当日に雪が降ることが多いんですよ。数年前のValborgには、篝火の帰りに雪が降って「春来てないじゃん!!」となりましたし、今年も前後に突然霙が降りました。今もまだまだ気温は低迷中で、体感気温はマイナスになる時も。

 

また桜が満開だったお花見の時のような20度超えの春らしい気候がが戻るといいのですが。春の不安定な気候の中、Valborgの大きな篝火で春を祝うスウェーデンでした。

 

【profile】新谷 友海
愛知県一宮出身。2007年1月よりスウェーデン在住。日本でプロボーカリストとして音楽活動に励んだのち、現在はフリーランスデザイナー、ライターとして活動中。スウェーデンから、リアルな北欧の暮らしを季節の写真とともにお届けします。