名古屋の中心地でクラフトビールのおいしさと文化を発信!Y.MARKET BREWINGの魅力に迫る

名古屋の中心地でクラフトビールのおいしさと文化を発信!Y.MARKET BREWINGの魅力に迫る

名古屋駅から徒歩数分、国際センターの近くに位置する「Y.MARKET BREWING(ワイマーケットブルーイング):以下「ワイマーケット」)」。名古屋市内で唯一のクラフトビールブルワリーとしてクラフトビール好きの界隈では広く知られる存在です。

2014年から柳橋中央卸売市場でビールの醸造をはじめ、現在は名古屋市西区にも工場とタップルームを持つワイマーケットのビールに込められた思いやこだわりについて、株式会社ワイマーケットの代表取締役・山本康弘さんにお話を伺いました。

Y.MARKET BREWINGとは

ワイマーケットは名古屋市中村区名駅の柳橋中央卸売市場にあるクラフトビールブルワリー。IPAやペールエール、ピルスナー、ヴァイツェン、スタウトなど、季節や素材に応じて多彩なスタイルのビールを醸造しています2014年に醸造を開始し、これまで造ったビールは約300種類以上!

醸造所の発酵タンク 1つのタンクの容量は1,000L

ブルワリーと同じビルの2階・3階には樽生のクラフトビールが味わえるレストランを併設するほか、名古屋市内や岐阜市でもレストランを展開。現在は名古屋駅だけでなく名古屋市西区にも工場を構え、全国の飲食店や販売店、個人のお客さんへも発送を行っています。

工場併設のタップルーム※ではブルワー(ビールの造り手)と直接話せるため、ビールの味わいの特徴を聞いたりクラフトビールについて気軽に質問したりもできますよ。

※タップルームの営業は土・日のみ(生産スケジュールにより休業の場合あり)

Y.MARKET BREWINGのはじまり

-名古屋でクラフトビールを造り始めたきっかけを教えてください。

山本さん:「クラフトビールを造り始めたきっかけは、元をたどるとクラフトビールのおいしさに衝撃を受けたからです。しかし、それからすぐに造りはじめたわけではなく、何年もかけて醸造できる環境にたどり着いた、という感じですね。」

クラフトビールとの出会い〜レストランの立ち上げ

-醸造所の立ち上げまでに、どのような経緯があったのでしょうか?

山本さん:「私は『酒の岡田屋』という酒販売店もしているので、当初はクラフトビールを商品として取り扱う立場でした。クラフトビールを初めて飲んだのは10年以上前ですが、あまりのおいしさに衝撃を受けたのです。このおいしさを多くの人に知ってもらいたい!と思い、販売店でクラフトビールの取り扱いをはじめました。

しかし、取り引きしていた飲食店さんも最初は取り扱ってくれましたが、クラフトビールは量の割に値段が高く消費期限も短いため、だんだん売れなくなっていきます。そこでネット通販をはじめると全国のお客さんが購入してくれるようになりました。しかし、その多くが関東で名古屋では全然売れませんでした。

私たちは名古屋で商売をしているので、名古屋の人に飲んでほしいなと感じていました。そこで、クラフトビールを提供するお店を出してみてはどうかと考えたのです。クラフトビールのお店は名古屋に全然ありませんでしたし、東京でも数えるくらいの少なさでした。そこで生まれたのが東区の東桜にある『CRAFTBEER KEG NAGOYA』です。」

ブルワリー設立のチャンス・出会いが到来

-レストランでクラフトビールを提供しはじめて、変化はありましたか?

山本さん:「レストランをはじめてしばらくすると、時代的にもクラフトビールに注目が集まり出してメディアでも取り上げられるようになってきました。それに伴いお店のお客さんも増え、別のクラフトビールを提供する飲食店も展開します。クラフトビールを扱う量がかなり増え、だんだん国内のクラフトビールブルワリーの方たちとのつながりもできてきました。いろいろなブルワリーに足を運んで工場を見学したり、造り手の話を聞いているうちに、自分でもだんだんと『こういうビールが造りたい』という思いが生まれてきました。あと、クラフトビールは意外と規模が小さな設備でも造れると知ったことも大きいですね。」

-売る側から造る側の視点へ移っていったのですね。

山本さん:「とはいえ、造りたい気持ちはありつつも、場所も設備もないし造る人もいない。そんなときにここ(名古屋の醸造所)でお寿司屋さんをしていた方が引退するということで、この物件を使ってもよいと言われました。その話をもらったときは、ブルワリーにするのは可能性の一つとして考えつつ、並行して設備やブルワーをあちこち探していました。
すると、設備は鳥取のスキー場で使われていたものを中古で売ってくれるという話があり、長野県のブルワリーにいた造り手が私の話に興味を持ってくれたのです。物件・設備・人がタイミングよく決まったこともあり、柳橋中央卸売市場のこの場所で『Y.MARKET BREWING』を立ち上げることとなりました。

ワイマーケットは2014年1月に醸造を開始していますが、実際に動き出したのが2012年ごろ、およそ2年の準備期間を経てようやくここまでたどり着きました。」

醸造所で酵母抜きの作業を行う醸造長・加地真人さん

-Y.MARKET BREWINGの名前は「柳橋中央卸売市場」が由来となっているのでしょうか。

山本さん:「はい。私は岡田屋のお店を受け継いで3代目になります。このお店が昔から柳橋の市場にあり、自分の育った場所でもあるので特に思い入れがあるためです。なので、この場所・地域からクラフトビールのおいしさや魅力を発信し、名古屋の人により広く知ってもらいたいと思っています。」

Y.MARKET BREWINGのビールへのこだわり

Y.MARKET BREWING KITCHENのタップ

-ワイマーケットが造るクラフトビールのコンセプトについて教えてください。

山本さん:「ワイマーケットのビールを造っていくうえで、私と醸造長が共感したのは『初めて飲んだときの感動をお客さんに届けたい!』ということです。私がクラフトビールにはまったときのように、その味わいに感動していただければ嬉しく思います。

まずはビールのおいしさに驚き、次はクラフトビールの種類の多さに驚く、1つ知るたびにその世界がどんどん広がっていく楽しさ、奥深さがクラフトビールの魅力でもあると思います。そうしたクラフトビールの世界を発信していきたいですね。

なので、ビールのスタイルも広く扱っています。例えば人気があってよく売れるのはIPAですが、ピルスナーも造るし、クラシカルであまり目立たないスタイルのビールもしっかり造ります。幅広いスタイルをそれぞれしっかり深堀りするようにしていますね。

ムーンナイトイエロースカイ(スタイル:アメリカンフルーツブラックIPA)

また、私たちはドリンカビリティが高いビールを造ることを意識しています。ドリンカビリティは飽きずに何杯も飲み続けられる酒質のことです。例えば度数が高いビールは甘みが強く、最初の何口かはおいしいけどだんだん飲むペースが落ちる、ということがないように最後までスイスイ飲み進められるようなものにしたいと思っています。なのでワイマーケットのビールはキレがよいものが結構多いですね。」

-ビールのネーミングもユニークなものが多いですね。例えば「んちゃ!」「せんべいさん」「肝臓破りの赤」……「円頓寺シャンゼリゼ」など名古屋の地名が入ったビールもありますね。

山本さん:「ビールの名前は造る人が一つひとつ決めています。どんな思いで醸造したかを言葉で表すこともありますし、素材に由来しているものもあります。たまにネタ切れしてるなと思うものもあります(笑)。今はブルワーが5人いるので、それぞれがビールのレシピから名前、サイトに乗せる紹介文まで一貫して考えています。

『んちゃ!』のビールは、あられ玄米を使っているので『アラレちゃん→んちゃ!』という流れで決まって、『せんべいさん』はそのシリーズのビールに黒胡椒を足してお煎餅っぽくしたのと、キャラクターつながりでそういう名前に。名古屋の地名がついたものは円頓寺や金山、スパイラル(タワー)のものなどがありますね。」

ワイマーケットのブルワーチーム

– 一つひとつのビールに、ブルワーさんの個性や思いが詰まっていますね。

山本さん:「そうです。だからこそブルワーにはお客さんが飲んだときの表情を見たり実際の声を聞いたりして欲しいですね。逆にお客さんにはブルワーの思いを知ってもらいたい。そういう場として活用するために、西区の工場にはタップルームがあります。」

スポット詳細

【Y.MARKET BREWING】
https://craftbeer.nagoya/

愛知県名古屋市在住。コピーライター3年、広告代理店でメディア編集者3年を経てフリーランスへ。金融やSDGs、ファッションなど幅広いジャンルのメディアで編集経験を積む。現在はグルメ・トラベルを中心に取材や執筆を行う。

趣味は旅行、読書、お酒。国内旅行が好きで47都道府県を制覇し、現在は2周目を満喫中。自身でもお酒に関するメディアを運用し、365日文章にふれる生活を送っている。


https://twitter.com/izunoumi_110

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