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※情報は取材時のものです。
ご利用の際には、各施設・各店舗の最新情報をご確認ください。
名古屋城から徳川園に至るエリアは、文化人・財界人の屋敷が連なり「文化のみち」と名付けられています。 江戸時代から明治、大正へと続く名古屋の近代化を担った文化人たちが暮らした歴史的建造物が多く残されています。
内部が公開されているものだけでも、15施設以上があります。今回はその中から「白壁・主税・橦木エリア」を中心におすすめスポットをご紹介します。ぜひ、散策ルートの参考にしてみてくださいね!
日本初の女優・川上貞奴が暮らした
大正ロマンの館「二葉館」
まずは、「文化のみち二葉館(旧川上貞奴邸)」へ行ってみましょう。文化の道の資料も展示しているので、文化の道散策のスタート地点としておすすめですよ。
「日本初の女優」と謳われた川上貞奴(1871〜1946年)。「日本の電力王」といわれた福沢諭吉の娘婿にあたる福沢桃介(1868〜1938年)。旧知の仲だった二人は事業のパートナーとして、大正から昭和にかけてこの館でともに暮らしていました。もともとは東区東二葉町にありましたが、現在の場所に移築復元され「文化のみち二葉館」として2005年に開館しました。
大広間西側にあるステンドグラス「初夏」
玄関入ってすぐのところにある大広間は、財界人や文化人たちが集まるサロンとして機能していました。大広間のみどころは「ステンドグラス」。当時の有名なデザイナーであり福沢桃介の義弟・杉浦非水の原画をもとに作成したものです。
そして大広間の中で最も目を引くのが、2階へと続く螺旋階段。美しい曲線を描く木製の階段は、裏側にまで板が貼られているのが特徴です。
城山三郎の以前使用していた書斎が再現されています。
二階の展示室では、近代文学の祖こと坪内逍遙をはじめ、城山三郎(直木賞)・小谷剛(芥川賞)・江夏美好(田村俊子賞)・春日井建(迢空賞)など、名古屋にゆかりのある文豪の資料が紹介されています。
【文化のみち二葉館】
住所 :名古屋市東区橦木町3-23
電話番号 :052-936-3836
駐車場 :有料(10台) 300円/1回 (30分以内は無料)
優雅なティータイムも楽しめる。
大正ロマンを感じる邸宅「橦木館」
続いては、「文化のみち二葉館」から歩いて5分ほどの場所にある「橦木館」へ。
「文化のみち橦木館」は、陶磁器商として活躍した井元為三郎によって、1926年(大正15年頃)に建てられた邸宅です。名古屋は明治の初めには9万人前後だった人口が、大正の終わり頃には10倍の100万人を超え、東京・大阪に次いで三代都市の仲間入りをはたしました。橦木館は、そんな時代の賑わいを象徴している建物でもあるのです。
橦木館は、住居として使用していた「和館」と応接用の「洋館」が合わさった和洋折衷の建物です。洋館は当時の最先端のおもてなしだったそう。和室は貸室としての利用も可能で、この日も展示が行われていました。
そして、橦木館でぜひ注目していただきたいのが「ステンドグラス」。海外との交流も多かった井元為三郎のセンスが光っています。「文化のみち二葉館」ほどの派手さはありませんが、館内の随所にさりげなく取り入れられています。
旧応接室は、2018年7月にカフェスペース「SHUMOKU CAFE」としてリニューアルオープンしました。美しいステンドグラスや日本庭園を眺めながら、スリランカでも最高級の茶葉のみを使用したムレスナ社の紅茶、安心素材のイタリアンジェラートなどを楽しむことができます。
※カフェのみ利用の場合は入館料は必要ありません
【文化のみち橦木館】
住所 :名古屋市東区橦木町2丁目18番地
電話番号 :052-939-2850
発明王と呼ばれた豊田佐吉の実弟・豊田佐助の邸宅
「旧豊田佐助邸」
「橦木館」の一本裏の通りにある「旧豊田佐助邸」。こちらはなんと入場無料!
「旧豊田佐助邸」は、発明王と呼ばれ現在に至るトヨタグループの礎を築き上げた創始者・豊田佐吉の実弟・豊田佐助が住んでいた邸宅です。大正12年に建設。白いタイル貼りの木造の洋館と、広い間取りの和館で構成されています。
「文化のみち二葉館」「撞木館」とはまた少し異なる和洋折衷のスタイルがみどころです。
玄関入ってすぐの場所は、洋館の応接間です。実業家として活躍していた豊田佐助の邸宅というだけあり、来賓を迎えるための贅を尽くした室内です。この部屋で、一番のみどころは天井の「換気口のデザイン」です。おめでたい鶴と亀がモチーフで、「と」「よ」「だ」の三文字があしらわれているんです。
豪華な黄金のふすまは当時のまま残されたもの。それぞれふすま絵が異なり、これらを鑑賞するのも楽しみのひとつ。
【旧豊田佐助邸】
住所 :名古屋市東区主税町3-8
電話番号 :052-972-2780
「珈琲 門」の特製カレーでランチ休憩
そろそろお腹が空いてきました。ここで、少しだけ「文化の道」散策のときおすすめなランチをご紹介します。
名古屋高速東片端インター近くにある「珈琲 門」。1957年創業の老舗の喫茶店ですが、実はカレーファンから一目置かれるお店なんです。
ハーフ&ハーフ 税込880円
一番人気は「ハーフ&ハーフ(税込880円)」。代表作『門特製カレーライス』と『チキンハヤシライス』のあいがけです。一見普通のカレーに見えますが、野菜の甘さがじんわり広がり、お肉のうまみがしっかりと感じられます。まるで、有名洋食店のような味わい!
カレーとハヤシを別々に食べるのも良しですが、マスターのおすすめは「混ぜて食べる」とのこと。カレーの辛さが和らぎ、ハヤシの旨味が合わさることで、また違った味を楽しむことができます。一皿で三度おいしいメニューです。
そしてもうひとつ、ぜひ食べていただきたいのが「ミルフィーユサンド(税込 650円)」です。何層にも重ねた薄焼き卵の間に2種のチーズを挟んだサンドイッチ。優しい味わいが、散策で疲れた体をほっと癒してくれます。
そのほかにも、季節限定のカレーや月に3日間しか提供されないという『牛すじ煮込みカレー』も人気なので、チェックしてみてくださいね。もちろんオリジナルブレンドの珈琲も絶品なので、ティータイムとしてもおすすめですよ。
【珈琲 門】
住所 :愛知県名古屋市東区橦木町1-15 撞木ビル1F
電話番号 :052-559-0759
駐車場 :
四季折々の草花であふれる癒しの庭園
「文化のみち百花百草」
さて、「文化の道」散策に戻りましょう〜!珈琲 門から、東側に進み「文化のみち百花百草」に向かいます。
「文化のみち百花百草」は、もともとは岡谷鋼機の創業家・岡谷家が、大正9年に建てた旧邸宅です。長く空き家となっていましたが、名古屋市が「文化のみち」を散策する際の休憩をとる場所として建物の利用を岡谷家に相談し、岡谷家が快諾。書院・茶室・土蔵を改修、多目的ホールを新築し、2009年に名古屋市東区の公民館施設「文化のみち百花百草」としてオープンしました。
「文化のみち百花百草」の見どころは何といっても、和洋折衷の庭園。花は季節ごとに植え替えられます。
「百花百草」という名前は、徳川美術館に寄贈されている江戸時代後期の画家・田中訥言(たなかとつげん)の「百花百草図屏風(ひゃっかひゃくそうずびょうぶ)」(重要文化財)にちなんだもの。屏風に描かれている四季折々90余種の草花のうち、現在は約70種が庭園に植えられています。
訪れた日も少し肌寒い季節でしたが、こんなにもきれいな草花をみることができました。
かつての母屋があった場所には、多目的ホールが新設されました。コーヒーやお茶、お菓子がセルフサービスでいただけます。時間によってはグランドピアノの生演奏も行われているのだとか。「二葉館」「橦木館」など、文化の道の他の施設と比較すると少し入場料がかかりますが、文化の道散策の休憩場所としてもおすすめですよ。
【文化のみち百花百草】
住所 :名古屋市東区白壁4-91
電話番号 :052-931-1036
駐車場 :無
入場料 :大人500円、小・中学生200円、小学生未満無料
※ 料金は変更になる可能性がございますので公式サイト等でご確認ください
世界を魅了したやきものの文化の館
「名古屋陶磁器会館」
最後は徳川園エリアまで足を伸ばして、「名古屋陶磁器会館」へ行ってみましょう!
名古屋市東区・北区は、かつて輸出向け陶磁器絵付け加工の中心の地でした。多くの絵付け工場や貿易商が集まり、日本全輸出陶磁器の80%を生産していたのだそう。「名古屋陶磁器会館」は、昭和11年に、当時の名古屋陶磁器貿易商工同業組合の事務所として建設されました。
現在では、昭和初期のレトロな雰囲気が注目され、建築やデザイナーのオフィスや撮影の舞台として活用されています。
1階の展示室では、戦前から戦後に名古屋で加工された製品が紹介されています。
ミュージアムショップでは、名古屋で絵付けされた製品が販売されています。オンラインでも購入が可能。
【名古屋陶磁器会館】
住所 :名古屋市東区徳川1丁目10番3号
電話番号 :052-935-7841
入場料 :無料
今回ご紹介した「白壁・主税・橦木エリア」のほかにも、「名古屋城・三の丸エリア」「徳川園エリア」の2つのエリアがあります。
名古屋城・三の丸エリアは、「名古屋城」を中心に「名古屋市市政資料館」「愛知県庁舎」など、大正ロマンがつまった建物が点在。徳川園エリアには、尾張徳川家ゆかりの観光地が集まっています。ぜひこちらも合わせてチェックしてみてくださいね。