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さまざまな働き方が注目されている現代において、仕事とプライベートの両立がなかなかうまくいかない。そんな悩みを抱えている女性は多いのではないでしょうか。近年欧米では、仕事とプライベートをひとつだと考える「ワークライフブレンド」という働き方・生き方が取り入れられていると言われています。
例えば、仕事のためにプライベートを犠牲にしたり、プライベートを重視するために仕事をあきらめたりするのではありません。どちらも共存させて人生を楽しむために、仕事とプライベートの垣根を無くし、ひとつの人生としてまるごと楽しむという考え方です。
今回は、そんなワークライフブレンドを自ら実践されている近澤優子さんにインタビューをしてきました。近澤さんは建築家でありながら、ご主人の実家をカフェにリノベーションした「実家カフェ山田」のオーナーであり、オーダーメイドの洋裁屋さん、さらには二児のママさんでもあるんです!
今回編集部が訪れたのは、近澤さんがオーナーをされている「実家カフェ山田」。日本家屋をリノベーションしたカフェでは、「鰹のたたき」をはじめとした高知料理を提供されています。
高知県から名古屋へ。
モノづくりが好きだった幼少期
近澤さんは「モノづくり」「空き家活用」「ふるさと応援」「女性支援」という4つのテーマで活躍されています。まず高知県で生まれ育った近澤さんの経歴から伺いました。
近澤さん:「私が高知県から名古屋にでてきたのは、21歳のときです。大学に通うために名古屋に移り住みました。名古屋を選んだ理由は、働きながら通える夜間の建築学科がある大学(私学)で、一番学費が安かったのが名古屋の名城大学だったからなんです。
子どもの頃から純粋にモノづくりが好きでした。特に母の影響もあって、洋裁は大好きで、リカちゃん人形のドレスを自分でデザインしたり、ダンボールや粘土を使って家をつくっていましたね。そんな経験があったので、自然と建築を本格的に学びたいと思ったんです。それに、高知県からも出てみたかったんです。」
実家の古民家をカフェにリノベーション
ご主人のお母さまの実家をカフェにリノベーションした「実家カフェ山田」のオーナーでもある近澤さん。なぜカフェをオープンすることになったのでしょうか。
近澤さん:「大学卒業後は、名古屋に残って建築設計の仕事をしていました。ただ、その頃からもっと自分がやりたいことをやれる場所はないかって、常に模索していましたね。衣食住どれも好きだったので、そういうのを表現できる場所をつくりたいと思っていたんです。
そんなときに、主人のおじいさんの家だったこの場所を使って、女性専用のシェアハウスを営みはじめました。学生時代に私が住んでいたいたこともあったので、思い入れもあったんです。駅からのアクセスもいいので、人気があったんですよ。
ただ、シェアハウスだとたくさんの人に間取りを見てはもらえないんですよね。私自身この家の間取りも好きだったので、もっとたくさんの人に知ってもらえるカフェにしたいと思ったんです。カフェをオープンするにあたって、「モノづくり」「空き家活用」「ふるさと応援」「女性支援」の4つのテーマをキーワードに起業することにしました。」
近澤さん:「リノベーションもすべて自分たちの手でやったんですよ。周りの人たちや娘たちにも手伝ってもらいながら、完成させていきました。
例えば、店の顔である入り口はあたたかみにある木製の引き戸へ変えたり、洗面台はモザイクタイルを貼ってレトロかわいく仕上げました。奥座敷の床の間は珪藻土と日本画に変えることで、グッと明るい空間へ生まれかわりました。もとの素材の良さや間取りは変えずに、修理をしていきました。」
ふるさとを応援するカフェを
カフェのメニューは高知県のさまざまな食材が使用されています。メニューひとつひとつにも近澤さんの想いが込められています。
近澤さん:「カフェのメニューは高知県の食材を多く使用したものを提供しています。私が高知県出身ということもあり、ふるさとを応援したい!という気持ちがあったんです。高知県は食材に恵まれた地域なので、そんな高知県自慢の食材を堪能していただきたいという想いがあります。
店頭では、私が自らセレクトした高知の商品も販売しているので、そこも含めてぜひ高知を楽しんでいただきたいですね。」
近澤さん:「女性支援にも力を入れています。そのため、カフェで働いてくれているスタッフはママさんばかり。もちろん子連れ出勤もOKですよ!ほかにも着付け教室や絵本の朗読会など、ここで何かイベントをされたい方も大歓迎です。
第二の実家のように、また子育てや家事の息抜きにここでほっとくつろいでもらえたらと思っています。」
オーダーも受付中!「山田手芸クラブ」
とにかく多彩な近澤さんは「山田手芸クラブ」と題した、手芸教室も開催されています。
近澤さん:「山田手芸クラブは出入り自由、特に決まったお題もなく、好きな手芸道具を持ち寄ってみんなで手芸を楽しむ会です。建築以上に洋裁が大好きなので、気づけば設計事務所と飲食店と洋裁ができる複合施設になっていました(笑)」
近澤さん:「これは愛知県の尾州生地を使ってつくったクッションカバーです。」
近澤さん:「こっちはパッチワークでつくったカバンです。15年ほど前から「BIRUKO」というブランド名で布カバン作家もやっているんです。こんなのつくりたい!というのがあればオーダーも受付中なので、ご相談ください。自分でつくりたい!という方も大歓迎です。」
さらに近澤さんは不定期で「近澤劇場四コマ漫画」も執筆されているんです。「実家カフェ山田」のFacebookかメニューの裏で読むことができますよ。目下の目標は本の自費出版なのだとか。
今から、とってもワクワクします。
やりたいことをやるには、たくさん準備をすること
最後に、すべてを両立しながら好きなことをやるための秘訣について伺いました。
近澤さん:「よく楽しそうでいいねと言われるんですが、私が今のように好きなことをやるためにしてきたことは「準備」です。昔からやりたいことがたくさんあったので、しっかりとした準備をしてきました。
まだまだ女性が好きなことをやって生きるのって難しいですよね。子どもを産みたいけれど、キャリアも捨てたくない、プライベートも充実させたい!という方は、思い描く未来に向けてしっかりと準備をしてください。そして、自分が夢中になって時間を忘れてしまうことをずっと続けてください。そうすると少しずつ好きなことがカタチになっていきますよ。」
近澤さんとお会いして、筆者自身も働くことと生きることの捉え方が大きく変わりました。何かを犠牲にしなければいけないんじゃないか……。そんな風にどこかで思っていたので、どちらも犠牲にする必要はないんだ思えば、なんだか気がラクになります。
コロナ禍によって大きく働き方が変わった今、近澤さんの生き方はこれからの人生のヒントになるのではないでしょうか。
【実家カフェ山田】
住所 :愛知県名古屋市中村区深川町3-33
電話番号:052-453-1270
営業時間:11:00~18:00(ランチは予約可能)
定休日 :日・月 土曜日不定休
https://www.instagram.com/jikka.cafe.yamada/
これまで、仕事とプライベートや家庭のはざまで悩んでいた方も、「ワークライフブレンド」という考え方を知って、働くことと生きることの捉え方が大きく変わったのではないでしょうか。仕事とプライベートがお互いに良い影響をもたらし、どちらも犠牲にする必要はないと思えば、楽になる部分も多いですよね。
あなたも「ワークライフブレンド」の考えを取り入れ、新しい働き方・生き方を見つけてみませんか?