長野県松本市、歴史ある浅間温泉に佇む「界 松本」が、2026年8月4日に全館リニューアルオープンしました。
今回のコンセプトは、「松本エレガンテに浸る湯宿」。“エレガンテ”とは、上質、優雅、洗練を表すイタリア語です。松本が育んできた温泉、ワイン、音楽、工芸。異なる魅力が館内の随所で美しく響き合い、宿全体で松本らしい文化を体験できる温泉旅館へと生まれ変わりました。
なかでも注目したいのが、「温泉×ワイン」という新しい滞在スタイル。夕食は従来の会席料理からイタリアンへと一新され、ロビーには長野県産ワインを味わえる「NAGANO WINE BAR」が誕生しました。温泉で心と身体をほぐしたあと、信州にちなんだ食材を使ったイタリアンとワインのペアリングを楽しみ、夜は音楽に耳を傾ける。
今回は、新しくなった「界 松本」で過ごす1泊2日の滞在をご紹介します。
※情報は取材時のものです。利用の際は、施設の最新情報をご確認ください。
目次
城下町・松本の奥座敷として栄えた浅間温泉


「界 松本」があるのは、長野県松本市の浅間温泉。JR松本駅から車で約15分ほどの場所に位置しています。
浅間温泉は、古くから城下町・松本の奥座敷として親しまれてきた歴史ある温泉地です。かつて松本城主の御殿湯が設けられていたと伝わり、現在も松本観光の拠点として多くの人に愛されています。
一方、松本市は、クラシック音楽が街に根付く「楽都」としても知られる場所。ギターをはじめとする楽器づくりや、民藝運動の精神を受け継ぐ工芸文化、冷涼な気候を生かしたワインづくりなど、多彩な文化が息づいています。
「界 松本」では、そうした街の魅力を、客室、食事、温泉、音楽体験などを通して一体的に楽しめるようデザインされています。
音楽ホールを思わせる、吹き抜けのロビー



館内へ足を踏み入れて、まず目を奪われるのが、高さ約10mの吹き抜けが広がるロビーです。
ゆるやかな曲線を描く木の壁と、段差を生かした立体的なフロア。落ち着きのある照明が空間を包み、温泉旅館でありながら、まるで音楽ホールを訪れたような雰囲気を感じさせます。
ロビーには、ギターの生産が盛んな松本市にちなみ、楽器の制作工程を紹介する展示も。加工前の木材や職人が使う道具、完成したギターなどが並び、松本のものづくりを身近に感じられます。
客室は音楽を楽しむ、ご当地部屋
「GAKUの間」



チェックインを済ませたら、今回滞在する客室へ。
全29室の客室は、今回のリニューアルによって、ご当地部屋「GAKUの間」へと生まれ変わりました。
客室のテーマとなっているのは、音楽の「楽」。室内にはレコードプレーヤーとスピーカーが備えられ、好きなタイミングでレコードに針を落とし、音楽のある時間を楽しめます。
スマートフォンですぐに音楽を再生できる時代だからこそ、レコードを選び、盤面を取り出し、そっと針を落とすひと手間が新鮮。やわらかな音色が室内に広がると、普段よりもゆっくりと時間が流れていくようです。

壁を彩るのは、ギター塗装の高度な技術を応用して生まれた工芸品「松本渓声塗り」のアート。音楽だけでなく、松本のものづくりにも触れられる空間となっています。


今回宿泊した客室には、ゆったりと湯浴みを楽しめる露天風呂も。
さらに驚いたのが、露天風呂にもスピーカーが備えられていること。スピーカーから流れる音に癒されながら、温泉に浸かることができます。(※ご自身で音楽を聞くことはできません)
8種13通りの湯浴みを楽しむ
館内湯めぐり



客室でひと息ついたら、着替えて大浴場へ向かいます。
浅間温泉の名湯を引く「界 松本」では、趣の異なる8種13通りもの湯浴みを楽しめるのが魅力です。


広々とした内湯や露天風呂をはじめ、身体をやさしく温める「ラディアントバス」、檜の香りに包まれる「檜おがくず風呂」、浮力に身を任せてくつろげる「寝湯」など、多彩なお風呂が用意されています。
一つのお風呂に長く浸かるのも良いですが、館内にいながら気分に合わせて湯めぐりを楽しめるのがうれしいポイント。


湯上がりには、新設された「湯上がり処」へ。信州で栽培が盛んなりんごを使用したりんご酢で水分を補給しながら、火照った身体をゆっくりと休めます。
お風呂に入る時間だけでなく、湯上がりの余韻まで心地よく過ごせるのも魅力です。
夕食は信州イタリアン
「Matsumoto sinfonia」


温泉で心身を整えたあとは、お待ちかねの夕食です。
今回のリニューアルでは、夕食を従来の会席料理からイタリアンへ全面刷新。信州イタリアン「Matsumoto sinfonia」として、長野県産ワインとの相性を追求したコース料理を提供します。
温泉旅館の夕食といえば和食を思い浮かべますが、「界 松本」が選んだのは、あえてイタリアンという新しいスタイル。
そこには、信州のワインを食事の脇役ではなく、滞在の主役としてもっと深く楽しんでもらいたいという思いがあります。内覧会では、「もっとワインを主役にできないか」という発想から、約1年をかけて宿全体を見直したことが紹介されました。

食事をいただくのは、レンガ調のタイルをあしらった落ち着きのあるレストラン。席はプライベート感を重視した半個室となっており、周囲を気にすることなく、料理とワインに向き合えます。


コースのはじまりを飾る「ストゥツキーノ」は、ピアノをモチーフにしたオリジナルの器で登場。小さな前菜が美しく並ぶ姿は、これから始まる演奏の序章のようです。
合わせるのは、サンサンワイナリーのスパークリングワイン「ブリュットブラン」。瓶内二次発酵によるきめ細かな泡と、ブドウ品種由来の酸味が前菜の味わいを引き立てます。


料理には、信州牛やりんごをはじめとする長野県にちなんだ食材を使用。郷土料理「やたら」をアレンジしたメニューなど、イタリアンでありながら随所に信州らしさが表現されています。
器にも長野の工芸品が取り入れられ、目の前の一皿を通して、食材だけでなく地域の文化にも触れられる構成です。

料理とワインが交互に運ばれるたび、それぞれの香りや味わいが重なり合っていきます。温泉で身体をほぐし、味覚が研ぎ澄まされた状態で楽しむ食事は、「温泉×ワイン」という滞在のストーリーを実感できるひとときです。
食後は「NAGANO WINE BAR」で
夜の余韻に浸る

夕食を楽しんだあとは、ロビーに新設された「NAGANO WINE BAR」へ。
界ブランド初となる本格的なワインバーで、半円形のカウンターが、ロビー中央の演奏スペースを囲むように設けられています。ワインを片手に音楽を楽しめる設計です。

ワインバーで提供されるのは、「界 松本」が位置する松本市と広域連携する「桔梗ヶ原ワインバレー」のワイナリーを中心に、厳選された長野県産ワイン。
ワインバーでは、長野県産ワインのなかから選ばれた5銘柄をグラスで注文できます。食事でペアリングを楽しんだあと、気になった品種や産地のワインを改めて味わってみるのもおすすめです。
作務衣のままカウンターに腰掛け、心地よい音楽とともにワインを楽しむ。温泉旅館らしいくつろぎと、ホテルバーのような大人の時間。その両方を一度に味わえるのが、「界 松本」の夜の魅力です。
ご当地楽「ソノリティコンサート」

夜のロビーでは、ご当地楽「ソノリティコンサート」が毎晩開催されます。
「ご当地楽」とは、地域の文化を宿泊者が楽しく体験できる、「界」ならではのおもてなしの一つです。「界 松本」では、高さ約10mの吹き抜けが生み出す音響を生かし、ギターをはじめとする弦楽器の生演奏を楽しめます。

コンサートの冒頭では、スタッフがギターに使われる木材について解説。木の種類によって音色がどのように変化するのかを学んだあと、実際の演奏に耳を傾けます。楽器は日によって異なり、ギターやバイオリンなど、それぞれの弦楽器が持つ多彩な響きに出会えるのも特徴です。
演奏が始まると、吹き抜けの空間いっぱいに音が広がり、木の壁にやわらかく反響していきます。客席と演奏者との距離が近く、指先の動きや楽器の細かな表情まで感じられるのも魅力。
音楽ホールへ出かけるのではなく、温泉旅館の浴衣姿で生演奏を楽しむ。肩肘を張らずに松本の音楽文化に触れられる、印象的な夜となりました。
松本らしい動きで身体を目覚めさせる
「現代湯治体操」


ぐっすりと眠った翌朝は、少し早起きをして「現代湯治体操」へ。
「界」では、温泉入浴とあわせて心身を整える「うるはし現代湯治」を提案しており、その一つとして朝に体操が行われています。
スタッフさんのお手本を見ながら、腕や身体をゆっくりと伸ばしていきます。朝の澄んだ空気を感じながら身体を動かすと、眠っていた身体が少しずつ目覚めていくよう。
身体を動かしたあとは、信州らしさを感じる朝食を


体操で身体を目覚めさせたあとは、楽しみにしていた朝食へ。
「界 松本」では、和食膳と洋食膳が用意されており、その日の気分に合わせて選ぶことができます。
今回いただいたのは和食膳。メインは、鶏肉やキノコなどを、くるみ味噌と一緒に朴葉で蒸し焼きにした「朴葉味噌」です。テーブルに運ばれてから火を入れるため、目の前で少しずつ香りが立ち上っていくのも楽しみのひとつ。
ご飯や焼き魚、卵焼きなどのおかずとともに、朝から信州らしい味わいをじっくりと楽しめます。
温泉、ワイン、音楽が響き合う「界 松本」

温泉、長野県産ワイン、信州イタリアン、音楽、工芸。
「界 松本」では、それぞれが独立したコンテンツとして存在するのではなく、一泊二日の滞在のなかで自然につながるように設計されています。
温泉で心身を整え、料理とワインをじっくりと味わう。食後には生演奏に耳を傾け、客室に戻ってレコードの音色に包まれる。宿の外へ出かけなくても、チェックインからチェックアウトまで、松本という街の文化に浸れるのが最大の魅力です。
名湯に癒やされるだけではなく、その土地の食や文化まで深く味わいたい方に、ぜひ訪れてほしい「界 松本」。ワインと音楽が美しく響き合う“松本エレガンテ”な休日を過ごしてみてはいかがでしょうか。










