【スウェーデンの暮らし】コーヒー消費大国スウェーデンのコーヒー事情と、伝統的な煮出しコーヒー「KOKKAFFE」

スウェーデン
掲載日:2021.11.30
【スウェーデンの暮らし】コーヒー消費大国スウェーデンのコーヒー事情と、伝統的な煮出しコーヒー「KOKKAFFE」

何度かスウェーデンのコーヒー事情について書いたことがありますが、今回はもう一歩更に踏み込んだスウェーデンのコーヒー事情をご紹介したいと思います。

スウェーデン人が1年に消費するコーヒーは1人あたり7.8kg。スウェーデン国内のコーヒー消費量の年間総量は、平均80.1千トンとなっているほど。(2019年調べ) 1人あたりのコーヒー世界消費量は世界で6位となっています。ちなみに日本は29位。これより、スウェーデンにはコーヒー文化が社会にしっかりと根付いている事が伺えます。

街にもいたるところにカフェがあり、お寿司屋さんでも食後はコーヒーが出てくるほど。スウェーデンにはFIKA(フィーカ)の文化もありますし、コーヒーはスウェーデンの人々にとって日々を送るにに無くてはならないものとなっています。

※FIKA…甘い物と一緒にコーヒーを飲んで談笑したりする事。

スウェーデンに最初のコーヒー豆が輸入されたのは1685年のこと。当初、コーヒーは嗜好品では無く病気の治療のために薬剤師が備蓄していた薬用であったそう。

そしてコーヒーという嗜好品を世に広めたのは、スウェーデン王シャルル12世。トルコを訪れた際にコーヒーの味を覚えたシャルル王は、トルコ産のコーヒーと、伝統的なコーヒーメーカー「セズヴェ」をスウェーデンに持ち帰り、当初は貴族だけのものだったコーヒーへの愛着は一般市民へと広まっていったそう。これがスウェーデンのコーヒー文化のはじまりです。

写真は筆者がカフェで良くオーダーするカプチーノです。この時はレモンのチーズケーキと一緒に。

スウェーデンで一番人気なのは淹れたてのコーヒーメーカーで入れたシンプルなブラックコーヒー。スウェーデンのスーパーには、さまざまな豆を焙煎して挽いた、どれにするか迷ってしまいそうな程種類のあるフィルターコーヒーメーカー用のコーヒー粉がずらっと棚に並んでいます。専門店へ行かずとも、スーパーにこの写真に写っている数の倍はあるのが普通です。真ん中の「GUD JUL」と書いてあるものはシーズナルなクリスマスコーヒー。

こちらは数年前に発売された、スウェーデンのローカルコーヒー会社Björklundsのもの。

地元を愛するこちらのコーヒー会社がつけたそれぞれのコーヒーの名前は、日本でいう「〇〇通り」や「〇〇川」、「〇〇丘」といったような地元で親しまれている地名が付けられています。お土産にとても良いアイデアですよね。

Björklunds
https://www.bjorklundskaffe.se/

スーパーで売られているものは、ほとんどがフィルターコーヒー用ですが、KOKKAFFE(コークカッフェ)と呼ばれるヤカンで煮出して淹れるクラシックなタイプのコーヒー粉も置いてあります。こちらはスウェーデンで古くから好まれていた方法で、1800年代にはじまり現在でも人気があります。

スウェーデン式KOKKAFFEの淹れ方はとてもシンプルで、野外で焚き火やキャンプ用のコンロを使って簡単に作れるため、猟師や釣り人にも人気があります。

作り方はトルココーヒーと似ていますが、味はそれほど濃くなく、イギリスの一般的なブラックコーヒーに近いものです。秘訣は、非常に粗い挽き目のコーヒーと、良質なミディアムローストの豆を使うことです。

【スウェーデン式KOKKAFFE(煮出しコーヒー)の淹れ方】

◆一人当たり小さじ1杯のコーヒー粉を鍋に入れ、一人当たり250mlの冷水を加えて沸騰させます。沸騰したら火から下ろし、フィルターで濾してカップやフラスコに入れます。

スウェーデンで売っている「KOKKAFFE」と書かれた粉でなくとも、日本で手に入る粗く焙煎されたミディアムブレンドのコーヒーで十分出来ますので、おうち時間に煮出して試してみて下さい!

KOKKAFFE専用のポットもありますが、鍋を使うのが簡単です。

さて、こちらは日本をはじめ世界で人気のスターバックス。このように自分で淹れる「お持ち帰り」専用のスタバはガソリンスタンドなどに残ってはいますが、「甘すぎる」「コーヒーの質が良くない」「居心地が悪い」などという理由で、最大でスターバックスはスウェーデン国内17店舗まで増やしましたが、人気が振るわず赤字となり現在ではスウェーデン国内でたった2店舗のみです。

これでどれだけ普段スウェーデン人が飲んでいるコーヒーの質が良く、至る所にあるスウェーデンカフェ内の居心地が良いかがわかりますね。

あと筆者はスウェーデンに来てからブラックコーヒーも飲みますが、ここ最近はずっとオート麦で作られたHAVREDRYCK(オートミルク)を入れています。

写真に写っているパック飲料はコーヒー専用のオートミルク。このほかにも、オートミルクの風味が濃厚なもの、あっさりなものと様々な種類が手に入るのも良い所。豆乳よりも癖がなく飲みやすいです。他にもアーモンドミルク、ココナッツミルクなどなど、植物由来のミルクが豊富で牛乳以外の選択肢が沢山あるのもいいですね。

いかがでしたでしょう、コーヒーが大好きなスウェーデン人のコーヒー事情。

最後に、スタバもかすんでしまうスウェーデン人が好んで来店するスウェーデンのコーヒーチェーン店をご紹介します。写真は公式HPトップページより。スウェーデンにお越しの際は、どこの街にでもだいたいありますので是非FIKAしてみて下さいね。

Espresso House
https://espressohouse.com/

北欧地域で最大級のブランドカフェ&コーヒーショップ。スウェーデンには1700を超える店舗があり(2018年調べ)、スウェーデンのコーヒーチェーン店のうちEspresso Houseが42%以上のシェアを持つマーケットリーダーとなっています。続いてが、次にご紹介するWAYNES COFFEE。19%のシェアを持っています。

ちなみにこちらはクリスマスシーズンのEspresso Houseの注文カウンター。「Julkaffe(クリスマスコーヒー)」のサインがあります。カウンター横にはサンドイッチやスイーツが並びます。

WAYNES COFFEE
https://www.waynescoffee.se/

Espresso Houseには数では劣りますが、スウェーデンを代表するコーヒーチェーン店の1つです。

愛知県稲沢市出身。2007年1月よりスウェーデン在住。日本でプロボーカリストとして音楽活動に励んだのち、現在はフリーランスデザイナー、ライターとして活動中。スウェーデンから、リアルな北欧の暮らしを季節の写真とともにお届けします。

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